
保護犬の防災は、フードを置いておくだけでは完了しません。自治体のペット同行避難の受入条件を確認し、自宅、避難所、親族宅や預かり先の三つの行き先と、はぐれたときの連絡手順を決めておきます。
災害時は普段と違う音、振動、人の動きが重なります。環境の変化に敏感な犬や脱走リスクのある犬は、「そのとき抱いて逃げる」ではなく、普段から使っている装具、クレート、家族の役割で移動できるようにします。
この記事の要点
- 同行避難が可能でも、人とペットが同じ居住空間で過ごせるとは限りません。
- 水、普段のフード、薬、排泄用品、健康記録を持ち出せる形にします。
- 迷子札とマイクロチップの登録情報を最新に保ち、現在の犬の写真を家族で共有します。
- 家族の安全を確保した後、決めた担当者が犬の装具とクレートを管理します。
「同行避難」と避難先の受入方法を分けて確認する
ペットと一緒に安全な場所へ逃げる「同行避難」と、避難所の同じ部屋で過ごすことは同じではありません。ペットの受付場所、飼育空間、クレートの必要性、持ち込み品、自家用車での待機可否は、自治体や避難所ごとに確認します。
環境省も、平常時から水や食料、常備薬を用意し、避難所と避難ルート、同行避難の注意事項を管轄自治体に確認するよう案内しています。ガイドラインと資料は環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」で確認できます。
| 確認先 | 聞いておくこと |
|---|---|
| 市区町村 | 同行避難の対象施設、受付手順、動物の飼育場所 |
| 指定避難所 | クレートや備蓄の持参、ペットスペースのルール |
| 親族・知人 | 災害時の受入れ可否、先住動物との分離方法 |
| ホテル・預かり先 | 災害時の受入れ条件、予約方法、必要な健康記録 |
| 動物病院 | 常用薬の備え方、記録の保管、休診時の相談先 |
持ち出し品は「生命・識別・生活」に分ける
持ち出し品は、犬の生命を維持するもの、個体と飼い主を確認するもの、避難先で生活するものの3群に分けて、抜けを確認します。
生命を維持するもの
普段食べているフード、水、食器、常用薬、薬の名前・一回量・回数が分かる記録をひとまとめにします。薬の保管条件や予備の処方は、事前にかかりつけの獣医師へ相談します。
環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」では、ペット用の水やフードを少なくとも5日分、できれば7日分以上備えるよう案内しています。これは最低限の目安です。自治体の防災計画、住まいの災害リスク、犬の病気や療法食の入手難易度を踏まえて必要量を増やしてください。一日分の消費量を計り、決めた日数分を、賞味期限の前に使って買い足す方法で更新します。環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」
犬と飼い主を識別するもの
迷子札、狂犬病予防法上の鑑札と注射済票、マイクロチップの登録情報、犬の全身と特徴が分かる最新写真、飼い主と犬が一緒に写った写真を用意します。紙とスマートフォンの両方に保管し、家族にも共有します。
避難生活を続けるもの
クレート、予備の首輪・ハーネス・リード、ペットシーツ、排泄物を処理する袋、タオル、清掃用品、食事と排泄の記録用具を用意します。電気と通信が使えないことも考え、紙の連絡先カードを入れておきます。
装具とクレートは平時に使っておく
災害当日に初めてクレートへ押し込むと、移動に時間がかかり、犬や人がけがをするおそれがあります。普段から寝床として置き、短い移動練習を行います。クレートに入ると強く反応する犬は、別の移動方法を譲渡元や専門家と決めてください。
首輪やハーネスは、サイズ、ほつれ、留め具、接続先を定期的に点検します。避難時に腕いっぱいの荷物とリードを一人が持つことがないよう、犬を担当する人と備蓄を持つ人を分けます。
はぐれたときの初動を一枚にまとめる
災害時の連絡先や受付状況は地域と災害で変わります。平時に、管轄の警察、動物愛護センター・保健所、市区町村の担当課、譲渡元、マイクロチップ登録先の連絡方法を調べておきます。
はぐれたら、最後に見た時刻、場所、進行方向、装具、最新写真を一つのメモにまとめて各窓口へ伝えます。家族全員が別々の電話番号やSNSを発信先にすると情報が分散するため、対応者と連絡先を一本化します。
年に一度ではなく変化のたびに更新する
犬の体重が変わった、薬が変更された、引っ越した、家族構成が変わった、避難所の運用が変わったときは、防災計画も更新します。フードと薬の期限は、毎月の日を決めて点検し、日常で使いながら入れ替えます。
計画は書いただけで終わらせず、クレートと持ち出し袋を持って玄関まで移動する、避難経路を歩く、家族へ犬の引き継ぎカードを渡すところまで練習します。
まとめ
災害時に保護犬を守るには、備蓄、受入先、移動、所有者明示、はぐれたときの連絡を一つの計画にします。同行避難の可否だけでなく、避難先で犬がどこで過ごすかを自治体に確認し、予備の行き先も用意しましょう。日常で使い慣れた装具とクレートで移動できることが、実行できる防災につながります。
今日作る一枚 第一・第二避難先、家族の役割、犬の薬と装具、警察・自治体・譲渡元への連絡順を一枚にまとめて、持ち出し袋に入れてください。
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